旧制木造中学校講堂の歴史と特徴

更新日:2026年07月06日

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屋根が緑色で、格子状の窓がありコンクリート壁の旧制木造中学校講堂外観を横から全体を写した写真

 

指定区分:青森県指定文化財(県重宝)

指定名称:旧制木造中学校講堂(旧名称:中央公民館講堂)

指定年月日:令和8年(2026年)4月8日

所在地:つがる市木造若緑52(移築前:つがる市木造曙54-1)

所有者:つがる市

構造:木造モルタル平屋建、鉄板瓦棒葺き半切妻屋根

建築面積:332.89平方メートル

設計者:青森県土木課(推定)

施工者:成田文吉(青森市)

 

講堂の歴史

  「旧制木造中学校講堂」は、昭和4年(1929年)に青森県立木造中学校の講堂として建てられた歴史的建造物です。つがる市木造(旧・木造町)は江戸時代から新田開発の拠点として発展してきた町であり、かつて弘前藩の木作代官所や御仮屋(藩主の滞在施設)が置かれていました。

  青森県立木造中学校は、その代官所跡地に明治35(1902年)4月に創立した青森県立第四中学校を前身とします。県下4番目の旧制中学校として、町民の歓迎を受け開校しましたが、明治42年(1909年)に青森県立弘前中学校木造分校となり、大正3年(1914年)には廃校となりました。

  しかし地域の教育に対する熱意により、大正15年(1926年)に再設置が認可され、翌年には入学式を挙行しました。この時に校舎整備の一環として新築されたのが、現在まで残る講堂です。講堂は入学式・卒業式などの学校行事や各種式典の場として用いられたほか、来賓による講演会も開催されました。記録には小林光政県知事や、弘前出身の中村良三海軍大将らが生徒に講話を行ったとあります。

  戦後、旧制木造中学校は学制改革によって青森県立木造高等学校となりますが、校舎と講堂は引き続き使用されました。その後、昭和47年(1972年)の木造高等学校の校地移転に伴い、講堂は旧木造町へ譲渡され、跡地に建設された中央公民館の施設へと転用されました。以降、生涯学習の場として親しまれるとともに、その歴史的な価値も認められるようになり、平成4年(1992年)には「中央公民館講堂」として旧木造町の文化財に指定されました。

  建築から約90年を経た講堂は老朽化が進行しており、部材の腐食や剥落などの破損も目立っていました。文化財として長く保存活用を図るため、つがる市では平成29年(2017年)に解体調査を、翌年より現在地への移築復元を行い、令和2年(2020年)3月に工事が完了しました。

  県内に現存する学校の講堂としては、他に類似するものがありません。また、旧制中学校の講堂は全国でも多くは現存しておらず、本県の教育史を知る上でも貴重な文化財となっています。

講堂の特徴

旧制木造中学校講堂の緑色の屋根部分の棟飾り部分をアップで写した写真

 屋根は緑色の鉄板瓦棒葺(トタン屋根)で、下地には薄いヒバ材の柾板が使用されています。形状は切妻屋根の両端を斜めに切り落としたもので、半切妻屋根と呼ばれます。棟飾りはトロフィー状で、角錐の上に球体を乗せた特徴的な形をしています。

 外壁はモルタル塗りで、ドイツ壁(モルタル掃き付け仕上げ)と刷毛引き仕上げが用いられています。これらは大正から昭和初期にかけ、洋風建築で流行した工法です。洗い出し仕上げによる、壁を補強するためのバットレス(控壁)を設けているのも外観の特徴です。

 

屋根部分の骨組があらわになっている旧制木造中学校講堂の天井を写した写真

 屋根を支える骨組みには、トラス構造が用いられています。トラスとは三角形を単位として組んだもので、西洋建築で発達したため「洋小屋」とも呼ばれています。屋根を支える柱が少なく済むという利点があり、これにより講堂でも室内に柱のない広い空間を造り出しています。

 天井を撤去したところ、建設から90年を経てもトラス構造の屋根はなお強固なままでした。また、屋根や柱には部材の番号のほか、「木造中学校行」や「成文木材部」という印が付けられており、建設工事の一端を垣間見ることができます。

 

白の漆喰仕上げが施され、円形の浮き彫り装飾がされている旧制木造中学校講堂天井部分をアップで写した写真

 天井は2段の折上額縁天井で、漆喰仕上げが施されています。天井中央に2ヶ所設けられた、シャンデリアを吊るすメダイオン(円形の浮き彫り装飾)の壮大なデザインにも目を引かれます。この装飾もすべて漆喰で仕上げられており、当時の職人の技術の高さがうかがえます。

 なお、現在のシャンデリアは公民館時代に取り換えられたと考えられる、2代目のものを修復して使用しています。初代のシャンデリアには、昭和初期に流行した「アール・デコ」と呼ばれるデザイン様式の影響がみられ、幾何学的でモダンなデザインが特徴です。

 

大きな窓が複数設置され、天井が少し丸みを帯びている旧制木造中学校講堂の室内を写した写真

 室内は横幅が約14.6メートル(8間)、奥行が約21.8メートル(12間)で、全体的にシンプルながらも、厳粛な式典が行われるにふさわしい空間となっています。柱頭飾り付きの柱や大きな窓枠は、すべて青緑色で統一されています。窓ガラスの一部には、特有のゆがみを持つ建築当初からの古いガラスが残されています。

 また、解体保存にともなって、ステージが過去2回にわたり増設されていることが分かりました。当初のステージは新しいステージの中に入れ子状に残されており、現在でも床板の色の違いから判別が可能です。

 

フルーティングが施された角柱や金色に塗られたパルメットなどの装飾がされた旧制木造中学校講堂の奉安所を正面から写した写真

 ステージの奥には奉置所(奉掲所)が設けられています。旧制中学校時代には御真影(天皇・皇后の肖像写真)や教育勅語を、式典等で使用する際にこの場所へ安置していました。講堂への奉置所の設置は、当時の学校建築の設計基準にも示されていました。学校ごとに様々なデザインが見られ、校舎の中でも特に装飾性が高い箇所といえます。

 奉置所の左右には、フルーティング(縦溝状の装飾)を施したギリシャ風の角柱が立ちます。上部の半円型に区画された箇所には、金色に塗られたパルメット(シュロの葉をモチーフにした古代の装飾文様)が取り付けられており、荘厳さを演出しています。

この記事に関するお問い合わせ先

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​​​​​​​住所:青森県つがる市木造若緑52番地(つがる市生涯学習交流センター「松の館」内)
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